もうひとつの喜雨
「夕べにすべてを見とどけること」
何度も繰り返し読んでいる小説にこんな一説がある。
人は生きていると常に問われる。
「それでもその人を愛せるか」
「それでもその人を許せるか」
私たちはよく生き、よく死ぬために生まれてきた。
よく生きることが人を愛することであるならば
なんて難しく苦しい世界だろう。
よく死ぬことが人を許すことならば
なんて美しく心地よい世界だろう。
人を愛し、許し、また愛すために
私は今日もここで生きなければならない。

「夕べにすべてを見とどけること。」
今、この場所からでは見えないものがたくさんある。
本当の気持ち、本当の空の色。
今がどんなに苦しくとも、今がどんなに寂しくとも、今を生き続けよう。
本当の気持ち、本当の空の色を知るその日まで。
「夕べにすべてを見とどける」その日まで。
私たちは繋がっている。この雨で繋がっている。
今日もあなたと、あなたの大切な人が幸せでありますように。
明日もあなたと、あなたの大切な人が幸せでありますように。
『もうひとつの、喜雨』記す。2024年6月 藤井結花

- 2024/6/4
- 言の葉